デイルマーク2

ダイアナ・ウィン・ジョーンズは「ハウルの動く城」で非常に知名度の上がった作家だろう。個人的には「ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジーランド観光ガイド」で"面白い人だなあ"ぐらいのイメージしか抱いていなかったし、 ダークホルムの闇の君 (創元推理文庫) ではだいぶんにコミカルだったせいもあり、やはり「面白いんだがどうだろう」というイメージしかなかった。

が、本作では正直、よい意味でその感想を裏切られた。いくつか「お約束」過ぎる点はあるものの、それがむしろ輝いて見えるほど第一級のファンタジーである。1巻でも解説に書かれた「リアリズム」も唸らせるものではあるが、それ以上に「不思議なもの」に対する仕掛けとそこへの物語としての導入が素晴らしく良いと思う。なるほど英国で[ファンタジーの女王」と呼ばれるのも肯けるほどの、噛み応えのある作品だと思う。

最近良いファンタジー作品がない、なんてぼやいてる人に薦められる作品だと思う。
全四部作とのことで、概刊の三巻も含め、グランドフィナーレになるであろう四巻も非常に期待できる。